【本】マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー

マッキンゼーをつくった男 マービン・バウワー
マッキンゼーをつくった男 
 McKinsey’s Marvin Bower
 エリザベス・イーダスハイム
 Elizebeth Haas Edersheim 
 2007/3 ダイヤモンド社

 McKinsey & Company, Incをマッキンゼーたらしめたのは、マッキンゼーさんではなかったんですね。戦略系コンサルタント会社の自社マネジメントがなってなかったら、アドバイスに説得力がなくなるは思います。が、マッキンゼーの経営システムが、マービン・バウワーの強い影響を受けていたのがよくわかる本でした。


 本書は、コンサルタントの心得として有益なだけでなく、優れた経営書になっています。改めて、卓越したマネジメントに、洋の東西はないと思いました。最近、何かとガイシと騒がれますが、彼の厳格な職業倫理観は、多くの日本人経営者が共鳴するのではないでしょうか。

 バウワー氏がが、マッキンゼーのアイデンティティと考えるのは、以下の3点です(P.44)。
・プロフェッショナルとしてのリーダーシップ
・共通の問題解決アプローチ
・実行の重視 

プロフェッショナルが価値を置くのは金銭ではない。金銭的利益を無視するわけにはいかないが、それを目標にしてはならないというのが、マービンの口癖だった(p.46)
 企業が躓くのは、正しい問いにまちがった答えを出すからではなく、まちがった問いに正しい答えをだすからである。多くの企業が、まちがった状況判断、まちがった前提の上。に最善の決定を積み重ねていって、次第に窮地に追い詰められていく(P.53)
 「私はファームの存続を願っている、よってパートナーは5%以上の株式を保有してはならない、したがって私は自分の持っている株を簿価で譲ることにする」と平然と言ってのけた。P.140
 経営の目標は価値ある製品・サービスを提供し、それによって売上や利益を伸ばす資格を得ることである。P.283

 こうしたエピソードが、たくさん紹介されているのですが、バウワー氏を語る一言は、p.153で引用されているウォルター・リップマンの言葉かと。

 残るものに信念と勇気を与えられるかどうか  
それが真のリーダーを決める最後の条件となる

 さらに素晴らしいのは、こうした考え方が、同僚に共有されていることです。

 マービンから教わったことの第一は、金儲けばかり考えるなということ。第二は、何をするにも10年先にどうしたいかというビジョンを持ってとりかかること。第三は、新しい可能性につねに心を開いていることだ。
サー・ロデリック・カーネギー
Sir Roderick Carnegie)P.260

 勉強になりました。

では(^^)/^

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