グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略
: Winning in a World Transformed by Social Technologies
by CHARLENE LI, JOSH BERNOFF
翔泳社 2008/11
Forrester Research のアナリストのWeb 2.0のビジネスへの応用論。
“swell” Merriam-Websterで調べると、
1: a long often massive and crestless wave or succession of waves often continuing beyond or after its cause (as a gale)
“groundswell”は、
1. a broad deep undulation of the ocean caused by an often distant gale or seismic disturbance
2: a rapid spontaneous growth (as of political opinion)
本書の定義は、こちら。
社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織などではなく、お互いから調達するようになっていること。
ソニーのブログ炎上など、多くの企業が「うねり」を無視できなくなっています。本書は、豊富なコンサルティングの経験から、的確な例が掲載されており、参考になりました。
Groundswell (うねり)に対応する方法として、”POST”が提唱されています。
- People
- Objective
- Strategy
- Technology
真新しいことではないですが、自社の製品に興味を持っている人が、どんな人なのかをしっかり理解した上で、目的を確認し、戦略をたて、技術を選んでいくということですね。Peopleがよくわからないのが問題なので、Social Technographics Profileを使って理解します。ユーザーの分類は、以下のとおり。
- Creators
- Critics
- Collectors
- Joiners
- Spectators
- Inactives
それぞれの内容は、こちらのスライドを参照。
実際には、POSTをグルグルまわしながら、探ることになるのだと思います。若者とシニア、日本のPCユーザー(NEC派vs.富士通派)などが、比較されています。興味深いのは、08年の大統領選挙の民主党支持者vs.共和党支持者の比較でした。両党の差はわずかですが、barackobama.comは、このわずかな差をうまく利用したのだとわかります。
25もケーススタディーが、収められており、どれか自分に一番近いものがみつかることでしょう。印象に残ったのが、Best Buyの”Blue Shirt Nation”。日本でいえば、ヨドバシカメラの従業員が作った社員SNSというところでしょうか。面白いのが、小さく生んで大きく育てているところ。みんなオタクだと思うので、早い段階から経営陣が取り組んでいそうですが、さにあらず。従業員が、余ったサーバーにDrupalを入れるところから始まり、経営陣からの資金申し出を断り、徐々にコミュニティを育てたところが面白いですね。
最後には、教訓がまとめられています。
The groundswell is about person-to-person activity, a good listener, patient, opportunistic, flexible, collaborative, and humble.
今後、グランズウェルに対応する必要に迫られるのは企業にとどまらなくなりそうですね。公式ブログには、オバマ大統領のサイトが取り上げられていました。そういえば、2008年最大のうねりは、オバマ支持者でしたね。
では。
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