ザ・ファンドマネジャー その仕事と投資哲学
依田 孝昭 日経BP 2006/10
ファンド・マネジャー経験者による、解説本。内容は、それほど難しくなく、初心者にも何とか読めると思います。
大まかに言えば、この約300兆円を150社ほどの運用機関が扱っていることになります。これでは、運用資産額に対して運用機関の数があまりにも少なすぎると思うのです(P.290)
とあるとおり、債権国になった日本にとって、資金の運用は、戦略上重要な仕事になりました。そのファンド・マネジャーの仕事を解説と、心得が書かれています。
株でもうけるというと、相場師を思い浮かべてしまいますが、職業としてのファンド・マネジャー理解するエピソードがP.76?P79にあります。受託者責任(Fiduciary Responsibility)についてなのですが、ひとつは、受託を目指すためにトップ・セールスをした時の失敗談。もうひとつは、年金の理事による株式運用のマネージャー選定の話です。A社は運用プロセスを丁寧に説明し、B者は直感が優れているタイプ。運用成績はB社がA社を圧倒的に上回っていた。それでも、選定されたのはA社。理事のコメントは、
自分の資金を預けるなら断然B社だが、他人の資金を預けることは残念ながらできかねる
のだそうです。
ファンドマネジャーのあるべき大局観については、
ジッと世の中を見ている。スイもアマイも一通りの苦労はなめて来た。『世の中いろいろなことが起こるものサ』と達観していて、年のせいもあるが一寸先のことでは驚かない。(P.106)
ファンドマネジャーの仕事とは、電車の進行方向へ背を向けて外を眺めるようなものです。通り過ぎた景色のみが分かるだけで、これからどのような景観が窓の外に展開されていくのかは見えないのです。しかし、そのような状況でも、自分なりに外の景色の流れを読みながら、次の展開を想定し、意思決定をしていくのがファンドマネジャーの使命なのです。(P.107)
など、さすがに、経験豊富な方だけあって、さまざまな名言がちりばめられた本になっています。
では(^^)/^