【本】「仕事ごころ」にスイッチを! ☆☆☆☆

「仕事ごころ」にスイッチを!―リーダーが忘れてはならない人間心理の3大原則&実践術
「仕事ごころ」にスイッチを!
小阪 裕司 2002/8 フォレスト出版

 オラクルひと・しくみ研究所小阪代表のモチベーション論。大学時代美学を専攻したそうで、右脳系のよい話がたくさん書かれています。厳しい採用状況の中で、チームをまとめる必要のある経営者には、参考になるのではないでしょうか。


 チームメンバーの意欲を高める3大原則は、 

 1) 快と結びつける
 2) 意味を与える
 3) 演じさせる

なのだそうです。「快」とは、他人からのねぎらいによって与えられるものです。褒めると労うのとは違う(p.77)そうで、相手に対する敬意がなければなりません。
 教会建設の例が有名ですが、働く意味を伝えることは、モチベーションアップの基本ですね。
 むしろ、役割を演じさせるというのが、僕にとっては新鮮でした。よく「地位が人を作る」といいますが、役職以外にも、役割はあるわけで、役作りをしっかりさせるのがモチベーションアップになるんですね。
 モチベーションの教科書と違って、アドバイスも具体的でした。
好きな物を並べる、BGM、コスチューム、旗を作る、お客様の感謝の声を共有するなど。サークルのノリなので、拒絶感のある企業もあるでしょうが、検討してみる価値はあります。
 以下、印象に残ったコメントです。
 経営者の時間配分(P.41)
  営業戦略 53%
  商品戦略 27%
  組織戦略 13%
  財務戦略  7%
 人事は、どこの企業でも頭を悩ます問題ですが、組織戦略に充てる時間を13%以下に抑えられるかが、営業に集中できるかの分かれ道なんですね。
 P.131では社員の離反について書いています。 

新しい事業哲学とそれにふさわしい事業モデルがつくられ、会社はまた伸び始めていくんですが、そういう会社が変態する大きな変革期に、これは非常によく起きることなんです、こういうこと–「離反」は

 こういうことは、会社が急速に伸び始める直前に起き、それは変革が順調に進んでいる証なのだそうです。
 大切なことは、これは自分自身が否定されたのではなく、あくまで、両者のベクトルが変わったということ。
 P.138の「集団プラナリアの法則」があって、器がきちんとしていれば、再生するんだそうです。
 
 経営というと、確かに戦略とか数値計画とかが頭に浮かびますが、ココロの問題も、科学的に考えていいかもしれません。

では(^^)/^