起訴休職外務事務官の獄中記。512日という勾留期間もさることながら、その記録が62冊のノートになっています。それを大幅に圧縮しても、500ページの本になっているわけで、著者の集中力に圧倒されます。
ただ、国家の分析などでいえば、『国家の罠』で書き尽くされており、本書は、そのサイドリーダーのように感じました。著者の事件に対する主張は、巻末の「堀の中で考えたこと」p.493- に見事にまとめられているので、そこを読めば要旨はわかります。
獄中の読書量が、半端ではないのですが、その本も、ヘーゲルなどの歯ごたえのあるものだらけです。DJ Ozmaのニュースの後に、読むと、そのギャップが面白かったりしました。
印象に残ったのは、次のところでした。
残念ながら、日本の外務省には、国際スタンダードでのインテリジェンス文化が存在しないことが、私を巡る事件で明らかになりました。今回の事件で、日本が失った最大の損失は、「インテリジェンスコミュニティー」からの信頼喪失です。恐らく今後10?20年はこのダメージを回復することは出来ないでしょう。
北朝鮮問題の進展が半年無い現状を鑑みるに、この言葉がずしりと響いてきます。
では。