儲かる銀行をつくる
山本 真司 東洋経済 2003/08
元ATカーニーの山本さんが書いた銀行経営論。実に豊富な海外の事例を駆使して、日本の銀行のあるべき姿を描いています。この本を読むと、日本の銀行は、もはや、「個人からお金を預かって、企業に貸す」というイメージとはまったく違うサービス業として競争しているのがわかります。他の消費財メーカー同様、マーケティングの時代になっているんですね。
取り上げられている会社は、流通業、保険会社なども入っており、銀行以外の金融機関の経営について考える上でも有益です。
興味深いのは、アメリカなどでは、まず、小さな会社がワクワクするサービスを提供して大銀行のシェアを奪い、最終的に業界全体が変わっていくという、通常の競争が展開されているところです。
日本でも、ネットブームでネット証券、ネット銀行が出た頃は、そんな感じがしましたが、最近、飛びつきたくなる金融サービスが少なくなってませんかね。電子マネーぐらいですか。
本書が出てから、もうすぐ3年。あまりに規模が大きくなりすぎた銀行に挑む金融ベンチャーは現れるでしょうか。
では。