【本】「R25」のつくりかた

「R25」のつくりかた

藤井大輔 日経 2009/2

時代を作ったフリーペーパーR25の前編集長のメイキング・ストーリー。Metroの成功があったにせよ、60万部という発行部数は、驚異的。M1をターゲットにしているマーケティング担当者だけでなく、企業の採用を担当している肩にもお勧め。

P.43からM1層へのグループインタビューの話がありました。新聞を読まないといわれている彼らの8割が新聞を読んでいると答える。この「空気を読む」感覚が、この世代を本当に捕らえるひとつのヒントになっています。

日本は同質性の高い社会でしたが、ケータイ(ネット)によって、それが完成してしまったんですね。20年前は、東京に出てきて、ビックリしたことをそのまま東京人に話せました。知らないことが当たり前でしたし、よいネタになってました。

しかし、ネットで何でも検索できるようになって、地方にいても、東京の状況がわかるようになると、ネットで調べてでも自分を「常識」に同期させようとする。そういう若者が集まると、その傾向が加速して…。 日経読んでますになるんですね。

かくも、入念な市場調査をしているリクルートですが、右脳を使った場面が、表紙のくだり(p98)。

R25という雑誌名を決める過程で、

表紙を一緒に作っていくと、びっくりするほどしっくりくることがわかりました。シンプルだけど力強い。

と表紙に落とし込んだときのイメージを語っています。たんに理詰めだけでなく、直感を大切にした場面です。

いわれてみれば、表紙はアイドルでない(p.108) スーツで電車の中で読むときは、アイドル好きだと周りから思われたくないわけですね。

 73年生まれの著者は、M1を梅干に例えます。私は、その表層を見て、もう見るのをやめてしまうのですが、薄皮の下には流動的な果肉があって、しかも固い種がある。薄皮の下をきちんと見ないとですね。

では。

amazonの書評を読む