【本】The Invincible Company

The Invincible Company: How to Constantly Reinvent Your Organization with Inspiration From the World’s Best Business Models  Alexander Osterwalder  2020

Business Model Canvas の事例集。可視化を売りにしているので、デザイン本のような装丁。

第1章はビジネス・ポートフォリオマップの説明。

 探索と活用の2つの四角で構成。四角はそれぞれリスクとリターンを表しています。

第2章は、ポートフォリオの管理。単純にビジネスモデルを考えるだけでなく、いかに進化させていくのかを学びます。改めて、アマゾンが開発してきたサービスを俯瞰すると感慨深いです。p.61

ソニーのSony Startup Acceleration Program は、p.106. 富士フィルムは、p.122。

第3章は、発明のパターン解説。Business Model Camvasを使いながら、3種類を紹介しています。

I. フロントステージの破壊

 1. 市場の探索者(Market explorers)

大きな可能性が眠っている市場、未開拓の市場、あるいはサービスの行き届いていない市場を創出し、解放し、あるいは切り開くような、革新的な価値提案を開発 
イ)ビジョナリー型 テスラ

ロ)再利用型 M-Pesa
ハ)大衆化型 シアーズ・ローバック

2. チャネルの王者(Channel Kings)

 多数の顧客にリーチし獲得する方法を劇的に変える。その業界で使われていなかった革新的なチャネルを開拓します。
イ)脱仲介事業者 Dollar Shave Club

ロ)機会提供型 タッパーウェア

3. 求心力の創出者 (Gravity creators)

 顧客が離脱したり、競合他社に乗り換えたりしにくくする。
イ)粘着性拡大型 Microsoft Windows
ロ)瞬間接着剤型 Microsoft Xbox

II. バックステージの破壊

1. Resource Castles

リソースの城郭。競合他社にとって模倣が困難または不可能な主なリソースによって競争上の優位性を築く。
イ)ユーザー層の城郭型 (Resource Castles) Waze
ロ)プラットフォームの城郭型 (Platform Castles) DiDi
ハ)IP城郭型 (IP Castles) ダイソン
二)ブランドの城郭型 (Brand Castles)  ウェッジウッド

2. 活動の差別化要素(Activity Differentiators)

 どの活動を実行するか、どのように組み合わせて価値を創出して顧客に提供するかを根本的に変えます。活動の差別化を基に革新的な価値提案を創出します。

イ)効率化による破壊型(Efficiency Distruptors)  フォード・モデルT
ロ)スピードの達人型(Speed Masters) ザラ
ハ)持続可能性の達人型(Sustainability Masters) パタゴニア
ニ)受注生産型 (Build-to-Order) デルコンピュータ

3. 拡張 (Scalers)

 競合他社がもはや規模を拡大できないビジネスモデルから抜け出せずにいる分野で、拡張(スケール)する斬新な方法を見つける。
イ)委任型(Delegators) IKEA、(フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、レッドハット

https://www.strategyzer.com/expertise/business-models


ロ)ライセンス供与型 (Licensors) ARM、(ディズニー)
ハ)フランチャイズ型 (Franchisors) ハーパー、(リッツカールトン、マクドナルド)

III. 利益方程式の破壊 (Profit formula distruption)

1.収益の差別化要素 (Revenue Differentiators)

価値を獲得し、これまで収益の出なかった市場を開拓し、大幅な収益増加につなげる革新的な方法を見出す。
イ)リカーリング収益型 (Recurring Revenue) ゼロックス
ロ)えさと釣り針型 (Bait & Hook) コダック
ハ)フリーミアム提供型(Freemium Providers)  Spotify
二)補填型 (Subsidizers) フォートナイト

2. コストの差別化要素 (Cost Differentiators)

 単に活動やリソースの合理化だけでなく、創造的破壊を起こすような新しい方法で物事を進めることで、斬新なコスト構造のビジネスモデルを構築

イ)リソース回避型(Resource Dodgers)  Airbnb,(Uber,Bharti Airtel
ロ)テクノロジー型(Technologists) WhatsApp、(Skype)

ハ)低コスト型 (Low Cost)  EasyJet、(RyanairTrader Joe’s

3. マージンの達人 (Margin Masters)

 競合より利幅を大きくするため、顧客が最も進んで対価を支払うものに注力し、コスト構造は常に抑制します。市場シェアより収益性を重視。
イ)逆行型 (Contrarians) citizenM、(シルクドソレイユ、任天堂Wii)
ロ)ハイエンド型 (High Enders)  iPhone

第4章は、改善のパターン

ビジネスモデルの改善を4つに分類しています。

I. 価値提案移行 (Value proposition shifts)

顧客向けに創出された価値の移行

1.製品からリカーリングサービスへ Hilti、ロールスロイス p.278
2.ローテクからハイテクへ ネットフリックス
3.販売からプラットフォームへ iPhoneとApp Store

https://www.strategyzer.com/expertise/business-models

4.ハイテクからローテクへ 任天堂Wii
5.プラットフォームから販売へ アマゾン・プライベートレーベル

II. フロントステージ主導型移行

ターゲット顧客および製品やサービスの提供方法の移行
 1.ニッチ市場からマス市場へ TED、ワシントンポスト
 2.B2BからB2Cへ Intel Inside、ゴアテックス
 3.ロータッチからハイタッチへ Apple Genius Bar

III. バックステージ主導型移行

価値創出方法の抜本的な移行
1.専用リソースから多用途リソースへ 富士フィルム(Astalift), 23andMe
2.アセットヘビーからアセットライトへ バーティ・エアテル
3.クローズドからオープンへ(技術開発) マイクロソフト (GitHub)
4.アセットライトからアセットヘビーへ ディズニー・パーク&リゾート

IV. 利益方程式主導型移行

収入とコストという面で利益をあげる方法の革新的な変化
1.高コストから低コストへ ダウコーニングのXIAMETER
2.取引型からリカーリング収益型へ アドビ 
3.従来型から逆行型へ (Conventional to Cnotrarian) AppleのiMac

V. 複数の移行パターン Ørsted

第5章が企業文化

カルチャー・マップの説明がありました。

YouTubeの時代は、文字で説明するだけでなく、視覚にも訴えるのが大切なのでしょうね。

では。