【本】歴史人口学で見た日本

歴史人口学で見た日本 速水融 文春新書 2022

オリジナルは20年前の新書ですが、いまも、参考になります。

速水教授が歴史人口学と出会う話が読めます。住めばわかるのですが、これほど複雑な民族が狭いところに集まっているのは珍しく、この手の研究をするなら欧州だと思います。

 歴史人口学の端緒になったのが、日・欧の宗教の記録というのは興味深いところです。江戸期の「宗門人別改帳」をデータ化したのが速水教授でした。

  戦乱期はゆるやかな家族であったものが、平和になり、農業中心の社会になると核家族や直系家族に分解していくのも面白いところ。これが日本人が最も農業の成果を実感できる単位だったのでしょう。

 意外なところでは、都市アリ地獄説 p.74 公衆衛生、医学などが発展する前の都市は死亡率が高く、出生率が低かったため、つねに周辺の農村から人を引き寄せる必要がありました。

 欧州では家畜が増えたのに、日本では減った p.105 というのも、興味深い指摘。外部の労働力を入れて生産性を高めるというよりも、人手に戻ってブラック労働に戻すというのが江戸の農業でした。

 DXが苦手なのは、その末裔だからなのでしょうか。

では。