【本】プーチンとロシア人

プーチンとロシア人 木村汎 産経新聞出版 2018

 ウクライナ侵攻前に書かれた本ですが、ひとつひとつ腑に落ちる考察です。

第1章 背景――日本とは対照的な地勢的環境
第2章 性格――自由を求め、かつ混沌を嫌う二面性
第3章 政治――「力は正義なり」が中央集権化を生む
第4章 外交――強い国にも強気、弱い国にも強気
第5章 軍事――不安ゆえの「過剰防衛」癖
第6章 交渉――交渉は闘争の手段
第7章 連続――体制変化で「新しい人間」は必ずしも生まれず
第8章 労働――資源依存症で働くことが大嫌い
第9章 技術――外国からの拝借思想の限界
第10章 社会――奇妙な結託、プーチンと国民は共犯者

 2.24はロシア通と言われるほど間違えました。チャーチルのロシア評をが響きます。

a riddle, wrapped in a mystery, inside an enigma

 しかし、知らないでは済まない隣国。プーチンの政治姿勢が伝わるのが、2000年の大統領選挙に立候補した時、「もし大統領選挙に勝利したら、真っ先に何をするつもりか」

 私は、しゃべりません。

 ロシアは、こういうリーダーを選挙で選ぶ国だということ。

 ロシア政治では、個人的な要素が西側にくらべて圧倒的に大きな役割を演じる。ロシアの大統領は、己が適当とみなすやり方で統治法が可能なのである。西側諸国とは違って、彼は、議会、憲法裁判所、彼が属する正統の承諾を求める必要などまったくない。

 プーチンの友人が「君は一体誰なのだ」と聞いたときの答え。

 私は人間関係の専門家なんだよ。

  これはKGBでの教育の影響を受けています。アンドロポフ赤旗諜報研究所の訓練生のが良きチェキストになるエッセンスを語って曰く、

他人とのあいだで相互関係をつくること。すなわち、個人的な関係を形成する能力を要請して、人間に影響を及ぼすこと

 これを実践して、キーマンの信任を得て、ロシア大統領にまで上り詰めたプーチンはまさに、最優等生だったと言えましょう。