中国株急落記念でもないんですが、陳凱歌(Chen Kaige)監督の『大閲兵』を観ました。建国35周年を祝う天安門広場での閲兵式にむけて、厳しい訓練を繰り返す兵士の物語。たった96歩のために、1万キロにの歩行訓練をする意味は何か。15年前の中国を思い出しました。
今観ると普通の軍隊物語なのですが、85年当時は、上映許可が下りませんでした。最近の中国を見ていると忘れがちですが、ついこの前までは、そういう時代だったんですよね。
張芸謀(チャン・イーモウ)氏が撮影監督をしており、映像が美しいので、現実の厳しさがいくらか緩和されています。縦横斜めどこからみても、一直線という隊形の美しさは、怖いほどです。
最後に国慶節での軍事パレードの実写になるのですが、この検閲が、かえって張氏の腕を際立たせる引き立て役になっています。
中国における個人と集団の関係もよくわかりますね。目標がはっきりしている間は、非常に強いですが、目標を探すとなると無力になる組織であるのがわかります。天安門へという目標がある間は、大変なパワーを発揮するのですが、なぜ天安門なのかとなると、答えられない。文化大革命後の時代の潮目だったことも合わせて考えると、実に興味深い映画だと思います。
なので、北京五輪とか上海万博という目的がはっきりしている間は、株は上がるでしょうね。ただ、なぜ、北京五輪だったのかと考え出したときに、中国がどこにいくのかは、私にもわかりませんでした。
では(^^)/^