松本隆@文芸春秋

藝春秋 2008年 03月号に松本隆さんが寄稿していました。

団塊が「日本のおじいさん」を変える p.302

トップ10入り134曲。うち51曲が1位という日本一の作詞家ですが、相変わらず、読み応えがありました。

ビートルズ以前の歌は「I Love You」の二人称の世界。彼らはそこに「She」や「He」を持ち込んで三人称にした。すると社会がうまれ、つまり、都市を描ける。
売れるものには必ず理由がある。世の中を動かしているのは、大衆の目に見えない欲求で、そこにアーティストの無意識がうまく触れるとブレイクする。だからスターはつねに彗星のごとく現れます。屈折10年のスターなんて、僕は信じない。
日本生まれの音楽で世界に通用したのは、YMOだけ。(中略)日本の歌手は売れるとすぐ「世界進出」といって英語で歌うけど、みんな背中を丸めて帰ってくるでしょ。昨年亡くなった阿久悠さんは、、僕にとっての「偉大な漬物石」でした。年はひとまわり上だけど、すばらしいライバルだった。

松本さんが、阿久さんを「サムライ」と呼んでいるのが興味深いところです。そして、教育論へ。これくらいわかるだろうという最低ラインがどんどん下がっているのは、作詞家にとって、切実な問題としています。

シンガーソングライターについては、冷静なコメント。優れた詞を書ける人は、限定されており、そうした人を育てるディレクターが育っていないのが問題とも。そして、最後は警鐘。

アーティストは自分よがりで、ディレクターはアーティストまかせ。これではどちらも育たないから共倒れになる。予言するけど、日本の音楽状況はいったん壊滅するでしょう。

「1点もの」の芸術と、大量生産大量消費のポップカルチャーの対比は、非常に興味深いものでした。

では(^^)/~