日経(4/29)の私の履歴書(P.40)で、宮沢喜一元首相が、長銀と住友信託との合併について触れています。このあたりのやりとりについては、「水上萬里夫オーラル・ヒストリー」の第4回目のインタビューで詳しく描かれています。
銀行の経営危機という、専門知識が必要な問題に対して、政治家が万全の知識を持って対処するというのは、そもそも無理ですね。宮沢さんでさえ、十分な情報が当初は入っていませんでした。感心するのは、宮沢さんの質問が的確で、その判断が早いということです。
長銀を救済するためには、住友信託との合併しかないと判断すると、素早く関係省庁に指示を出しています。このあたりは、官界を知り尽くした政治家にしかできない仕事だと思います。
しかし、この話は、小渕首相と宮沢蔵相が、住友信託を説得したにもかかわらず、破談に終わります。これは、基本的には、企業の判断なので、政治がどこまで介入できるか難しいところです。住信も、事実を徹底的に調べ上げて、どこまでリスクをとることができるか、調べた感じが伝わってきません。
将来、住友信託側の資料が出てくる日がくると思いますが、こういう危機に直面した場合、直感も大事なんですが、想定できるシナリオを徹底的に調べて果敢にリスクをとるということが、どうしてできないのかは、今もなお、日本企業の課題であると思いました。
では(^^)/^