扶養比率の変化

 国ごとのマルチプルを調べていて、その原因は「若さ」なのかもと思い、各国の扶養比率(Dependency ratio)を調べてみました。扶養比率は、扶養されている人(15歳未満+65歳以上)を労働力人口(15~64歳)で割ったものです。100人の労働者で、何人養っているかという率ですね。これが少なければ、負担が少ないので、経済成長率が高くなると言われています。

世界銀行: https://databank.worldbank.org/source/gender-statistics/Series/SP.POP.DPND#

 日本は、1990年には43.6人だったのが、2020年には69人になりました。子供がやたらいるナイジェリアは110人とかだったりするのですが、少子高齢化の先進国では日本が最も多いです。

 世界銀行には、1990,2000,2020のデータがありましたので、扶養比率の成長率(CAGR)を計算してみました。

 日本は1990年代は年率0.67%で増えていたのが、2000 ~ 2020年は同1.99%に加速したと言えるでしょう。

 これを純粋な比喩で「90年代は時速67キロだったのが、2000年以降は時速199キロのスピードで高齢化が進んだ」というとしましょう。国道を車で走るようなスピードだったのが、新幹線になってしまったわけです。

 オランダも高齢化は問題になっていますが、スピードは時速83キロで、日本とは比べ物になりません。

 香港は時速82キロで「若返って」いたのに、時速72キロで年老いるようになりました。97年に中国へ返還されるまでは若い人が流入していたんでしょうね。マルチプルが下がるのもわかります。そこまでヒドくないですけど韓国も反転してますね。

 意外なのがスイスですね。どうやって扶養比率を抑えているのでしょうか。これがマルチプルの高さにつながっているのかもしれません。

 アメリカシンガポールが低いのは、移民だと思います。

 中国は、扶養比率がずっと下がってきたんですね。奇跡の30年は人口ボーナスによるものでした。人口オーナスが始まった時は、日本を超える速度で高齢化しそうです。

  では。