シュワルツネッガー氏が、道路の穴を修繕していました。
実は、この穴、地元のガス会社が、事前に許可を受けた工事を行うために作った溝だったそうです。ロサンジェルス市の道路には、1万9千個の穴があるそうで、穴埋めだけでも、大変な労力です。
このニュースを見て、オランダの土木工事のレベルの高さを実感しました。写真の道路は、「手術の跡」が残っていますが、オランダはこれがとても少ないのです。
ロスでは、ガス管の工事のために、道路に溝を作っていましたが、オランダでは、ある区間を通行止めにして、その道路全てを一度に補修しています。車道、自転車道、歩道を一度に直すで、通行人には迂回しないといけません。しかし、3年も住むと、それが最も合理的なのが実感できます。オランダには電信柱はないですし、ガス、水道、電話なども道路に埋まっています。工事のあとにはきれいな道路が残ります。
日本のようにガス会社が道路を堀り、水道会社がまた堀りとやっていったら、手術の跡があちこちに残ります。市役所的には、複数部署に調整が要らない分だけ事務処理は楽なのかもしれませんが、コストは余計にかかることでしょう。
なんでオランダがこんなことできるのかは、専門の方に教えて欲しいですが、私の見立ては、「現場力がないから」です。日本の土木業者は、現場力があるため、ガス管の工事も地図をみて正確に道路を掘り起こし、きれいに跡が最小限になるように埋められるのでしょう。
オランダ人は(たぶん外国人も多いでしょうけど)、そこまでの技量がないため、管理者が、誰がやっても問題がないように計画を作るよりないのだと思います。アスファルトを全部剥がしてやりなおすのであれば、オランダ語を話せない作業員でも、間違えることなく工事ができます。
ここまで徹底できるのは、何度か触れてますが、オランダが運河の国だからだと思います。カトリックの国に迫害されたプロテスタントでできたオランダは、干拓によって農地を増やすしかありませんでした。風車によって水を汲み上げ、水位を緻密に計算することで、国民を自然災害から守ってきました。リーダーが全体を俯瞰せず、水門の上げ下げを間違ったら、何千人が死ぬのです。
初めてオランダに来た人は、運河の水位が玄関に近いので驚くでしょう。神田川の近くに住んでいる人は、鉄砲水が来てもたえられるように、普段の水位をなるべく下げておく(堤防を高くする)はずです。オランダには高い山がないのはそのとおりですが、数百年にわたる水位コントロールの経験が、運河のすぐ近くに住むことを可能にしています。
日本も人口減少が続き、インフラ整備にお金がかけられなくなりました。オランダに学ぶことは、いまだに多いと思います。