管理会計の教育

Wikipedia: Verenigde Oost-Indische Compagnie

 オランダに来て学んだことのひとつに、「会計はリスク・テイカーとともにある」ということがあります。世界初の株式会社、Verenigde Oost-Indische Compagnie(VOC)は、1602年、オランダにできました。蒸気機関ができるはるか前、アジアに船団を派遣して貿易をするのは大変なリスクでした。このリスクをとるためにできたのが、株式会社という仕組みであり、会計制度でありました。複数の人がお金を出し合い、利益とリスクを分かち合うには、透明な会計制度が必要だったわけです。リスクをとる企業人にとって、会計はわかって当たり前の知識でした。

そこから400年経った日本でも、自分でお店をやる時には、会計の知識が必要です。銀行からお金を借りるには、決算書を作らなければなりません。仕入れをするためには、日々の現金を管理して、支払日に十分なキャッシュを確保しなければなりません。

ところが、大企業では、経理は専門家の仕事になってしまいました。社員が増えるにつれて仕事が専門化し、営業は売るだけ、調達は買うだけになっていきました。子会社の役員になる前に、管理部門も統括しないといけないということで、経理も勉強するというところが大半ではないでしょうか。最近、企業研修で、経理も教えるようになり、これはモッタイナイことだと思うようになりました。

私の反省としては、自身も銀行出身のコンサルタントとして、会計は分かりづらいというのを商売のタネにしてきたとこがあります。思えば、事業会社と金融業って全く違うものとして扱うところはありますよね。たしかに私が就職した30年前は、コンピュータも普及してなかったですし、銀行の仕事は、特殊な訓練が必要でした。会計の知識、法務、リスク分析などなど。

2020年ともなると、わからないことはGoogleで調べればいいですし、リスクは審査部のベテランでなく、ビッグデータのスコアリング。トヨタやソニーの貸借対照表を見ると、預金や貸付金で、そこらの地銀よりも大きくなっています。金融業と非金融業の境目も混沌としてきました。

東インド会社の原点に返って、ビジネスパーソンとして会計を学ぶよい指針は、ないでしょうか。国際税務とか、デリバティブの開発とか、専門家に任せるべきところは除き、企業経営に必要なところだけ、若いうちから(大学で会計を専攻したとか関係なしに)学べれば、2030への展望は明るいと思うのですが。

シックスシグマが参考になると思っています。従来、小難しいと思っていた統計分析の話を、グリーンベルト、グリーンベルトと、柔道の段位に変えてしまいました。大学で統計学の授業を取っていなくても、緑帯なら、私も挑戦してみようかなと思わせてしまうところがミソです。

会計の専門家がやってしまうと、小難しい段位になりそうなので、事業会社が制定した方がいいかもしれません。

では。