私が通っていた中学には、『戦争を知らない子供たち』を歌うと怒る先生がいました。あの悲惨な体験をした世代からすれば、知らないでは済ませられないことだったのでしょう。
今の、中国恒大の報道を聞いていると、『バブルを知らない子どもたち』が大人になっていると感じました。日本のバブル崩壊は、長すぎた金融緩和の後の急激な引き締めなどが原因でした。その背景には、人口ボーナスの終焉があったことは、別の投稿で指摘しました。
中国の人口ボーナスのピークは、日本(1970年)より40年遅れて2010年にやってきました。日本の逆依存人口比率が3倍を割ったのは1990年。その40年後は2030年ですが、中国ではそれよりも早く来ると予想していました。一人っ子政策で山が高かったので、低下も早いと思ったためです。
2021年に中国の不動産バブルが弾けるかはわかりません。しかし、中国恒大は、中国が構造的な転換期にあることを示す事件として記憶されると思います。
自身の整理のためにも、日本のバブル崩壊の時系列を振り返ります。
第1は、金融緩和はバブルを招くということ。最近、ゼロ金利が続きすぎて、かつてはたった2年の金融緩和で株価がバブってしまったのが嘘のように思えます。
第2は、利上げと不動産規制は、ソッコーで不動産市場に効くということ。1990年上期に総量規制が始まると、その年末には、イーアイイーが銀行管理になっています。
第3は、ドミノ。負債は、不動産会社→建設会社→銀行→国と移っていく。長銀から国に移った負債が、20年経っても解消されないのをみると、感慨深いものがあります。
中国は日本の失敗を徹底的に分析し、民主主義国家がとてもできない統制をすると思います。ただ、政府がうまく乗り切るほど、バブルの山は高くなり、その処理が大変になるのも歴史の教訓。今回は、どうでしょうか。