Ⅲ. アムルスキー湾の壁
海岸通りを帰る。アムルスキー湾からの冷風が頬を刺す。海岸沿いには、壁があるのだが、シベリア抑留者が造ったものと聞いた。50年の月日を経ても、凛として立ち続けている。敗戦国の国民として、強制労働に従事した方々の無念の思いは、どれほどであったか。半世紀をして北の大地に立ち続ける壁にその声を聞いたきがした。
インターネットの店に入る。英語通じず。ウラジオストックは、日本のように英語が通じない。1時間=70ルーブル(210円)。
再び表へ。路面電車の線路はあるが、電車が走っていない。2009年7月に市長が全廃を表明。一部を観光用として残す以外は姿を消すことなっている。路面電車は、1912に導入され、ウラジオストクの象徴でもあった。しかし、市内の自動車が増えて渋滞が深刻になったのと、老朽化した車両の維持費がネックとなって廃止をとなる。
東京にある政府が1,740km先にある沖ノ鳥島についてなかなか思いを馳せないように、モスクワの政府が9200km先にあるウラジオストックに投資しようとはしてこなかった。市内の渋滞は想像以上で、そもそも、信号機が整備さていない。
同じ坂の町、サンフランシスコをみても、路面電車は不可欠だと思うのだが…。万葉線か箱根登山鉄道の協力で、蘇らせることはできないものだろうか。軌間があえば、伏木港から中古路面電車を送れるんですが。