Sweeney Toddを観てきました。
作詞作曲 Stephan Sondheim
演出・振付 宮本亜門
キャスト 市村正親 大竹しのぶ ソニンほか
日生劇場(東京・日比谷)
長い芝居なので、軽食を持っていくと思いますが、パイだけは避けたほうがよろしいかと(笑)。観終えたときには、ちょっと、ぐったりするほどです。市村&大竹コンビに惹かれて見に行きましたが、パンフレットには、保険会社の説明書のような文字で、”A Musical Thriller”と書いてありました。
観客は、30代(後半?)の女性(同士)中心ですね。金曜日の18:30スタートの舞台を見れるサラリーマンは、それほど多くないのでしょう。ミュージカルの観客側に色気がどんどんなくなってきているのは、ちょっとさびしいところです。
ストーリーは、志賀直哉の『剃刀』を思い出します。ポロニウムで殺されるのも嫌ですが、やはり、刃物は怖さが違います。
キャストは、よくまとまっていました。市村さんは、ダンス・オブ・ヴァンパイア以来ですが、やっぱり、ちゃんとセリフのある主役が似合いますね。
市村さんと大竹しのぶでなければ、ただのホラーで終わっていたと思います。彼女もがんばっていましたが、『奇跡の人』を超える感動を期待するのは酷でしょうか。
アンソニー役の城田優(しろたゆう)が良かったですね。今の観客層には、こういう役者が必要です。
スタッフも、しっかりしていました。最近の舞台は、セット・チェンジを感じさせない仕掛けが進歩したのですが、今回は、メインとなる床屋とパイ屋を「人力で」動かして、細かなシチチュエーションを表現していました。
サウンドは、スリラーだけあって、印象に残る高音を要所要所に使って、心理戦に持ち込んでいました。
ライトは、良かったですね。殺害シーンでは、しっかりハイライトを当てて、ナイフの怖さを会場全体に伝わりましたし、正面から別のライトを当てて、背景に市村さんの影を出して、緊張感を演出していました。第2幕の始まる場面では、トバイアスが舞台奥のドアを開けると、柔らかな光が舞台に落ち、一瞬『未知との遭遇』
を連想しました。
コスは、ロンドン・ミュージカルお約束なのか、ミセラブルなかんじでしたね。松平健さんが、江戸の庶民物をやるときに、町人の衣装は質素ながらも、ミゼラブルではないと思うのですが、どうしてロンドンは、こうなるのか。Working Class に対する感覚が日本とは違うんでしょうか。
役者の舞台の使い方は、本当に良かったですね。舞台上に「X」のラインがあるような動かし方でした。その役者がなぜ、そこから出てきて、そのラインを描いて、そこに去っていくのか。考え抜かれていたと思います。日生劇場の舞台が、とても広く感じました。
役者の集散も、見事でした。集団として、何を表現したいのかビビッドにつたわってきます。ああ、演出が違うと、舞台は変わるなぁというお手本かと。
ただ、公演のタイミングは、微妙でしたね。何もなければ、人はなぜ復讐するのかとか冷静に考えられたと思うのですが、現実の世界で、舞台を越えるようなおぞましい事件が続きましたので….。
2月からの地方公演は、以下のとおりです。
○松本 2007年2月 2?3日
○名古屋 2007年2月 8?10日
○大阪 2007年2月 15?18日
○北九州 2007年2月 22?25日
(公式ブログ参照)
では(^^)/^
【追記】
なんと、ジョニーデップで映画になるんですね。なるほど、というキャスティングです。