オランダの主要紙は、ロシア反体制派指導者のアレクセイ・ナワリヌイ氏が獄死したニュースを一面トップで報じています。写真の大きさが、オランダ国民の怒りを表していると思います。
各国の新聞をざっと読んでみると、微妙な温度差があるのがわかります。たとえば、同じ核家族の主要紙は同じように一面・写真入りで伝えています。イギリス、フランス、アメリカなど。
一方、インド、シンガポール、中国は、一面では扱っていませんでした。権力者に歯向かって投獄される人がめずらしくないのでないかと邪推します。
もう一度家族類型のマトリックスをみてみましょう。ロシアは親が子供より偉く、長男も他の子供と平等にあつかう共同体家族です。権威を認め、結果の平等を尊重します。共産主義と相性がよく、周りの人と差がそれほどつかないのであれば、独裁者も認める社会です。
その真逆が絶対核家族。子供は18歳で親元を離れ、兄弟の遺産は遺言書でどうにでもなる社会。自由をなによりも尊び、格差を容認します。ナワルニイ氏のニュースを最も強い調子で伝えていたのは、絶対核家族の国でした。政治的な自由を一方的に奪い殺してしまうということに、最も怒りを感じたのだと思います。
ロシアは3月に大統領選挙がありますが、たとえプーチン氏が代わる日が来ても、おそらく権威主義的なリーダーでしょう。絶対核家族的な国と価値観が合うことは当分ないと思います。この価値観の差をどのように戦争にしないで留められるか。我々に問われているのは、その技量ではないでしょうか。