オランダは今日、3/17が総選挙投票日です。昨晩の党首討論を見て思うところを書きます。
国政選挙を見るのは、これで4カ国目。日本は、「村長選挙」のイメージ。ちょうど、NHK大河ドラマの『青天を衝け』で、渋沢家が名主として登場していますが、あれがずっと続いていると思った方が、理解しやすいです。マレーシアは、マレー人の党、中華系の党、インド系の党がありますが、日本はあれほどわかりやすく政党=利益代表なわけでもないですね。自民党は「与党」。法人税率引き下げと働き方改革を同時にやるなんて、経営側でも労働側でもないということでしょう。
シンガポールは、直系家族な政府でした。選挙はありますが、50年与党が変わりません。日本は、アメリカに占領されて、民主主義的な指導を受けたので、今の形ですが、アメリカの占領がなかったら、シンガポールのようになっていたのではないかと想像します。
オランダも基本アメリカ的な選挙ではありますが、「細かすぎ」です。下院が150議席なのに、政党が30以上ある。自然を守れとか、動物を愛護しろとか、ひとつの党として議論をするので、焦点が定まりません。
そのアメリカは、選挙大好きな国でした。そうでなければ、1年も大統領選挙やりませんよね。しかも、一人=一票(平等)と思っていない。パワーゲームです。ベンチャー金融の授業の教授が、「政治家への投資は儲かる」と言ったのは忘れられません。でないと、候補者が15億ドルも集められないですよね。結果、政治は極端な主張になりがちで、ものすごいぶつかり稽古になります。
単独過半数を取る党もないので、連立協議は毎回難航。半年かかったこともありました。たったひとつ確かなことがあるとするのならば、オランダ人は議論することに意味があると信じていることでしょうか。日本人なら、「これ以上話あっても無駄だ」と見切りをつける段階を越えても、ずっと議論を続けられるのだと思います。
党首討論も8名が招待されていました。1組(2名)ずつが舞台で議論します。全ての党首に対して議論をすることも、全員が主な議題をカバーすることも1時間半の番組ではできません。
私も投票できるようになって30年が過ぎましたが、今回の選挙はちょっと引いた目で見てしまっています。民主政は、有効な政策を実行するのによい制度なのかと。これまでは独裁は腐敗し、民意が反映されず、国民を不幸にすると疑いもしませんでした。しかし、最近の民主主義国家の迷走を見ていると、迷いが生じます。ニューヨークがロックダウンしているのに、テキサスがマスク不要というのは、民主的ではあります。
これが、人工知能が、全ての通話やメールを盗聴し、国民の不満に自動的に応えるオートパイロットになってしまったらどうか。通貨もデジタルになり、節税もできない代わりに、給付金は1分で国民全員に行き渡る。毎週、麻薬を使った人や、賄賂をもらった役人が検挙され、ワイドショーでは常に溜飲を下げることができる。「天安門」のような政府に不都合な情報は検索することができないが、まあまあな収入は得られる。国民のプライバシーはなくなったが、行政コストが劇的に下がり、税率が世界最低レベルになった。コロナも、そもそも、日々行動監視されているので、特に対策なし。
Googleが便利すぎて、紙の辞書を使わなくなった私たちが、こんなに便利な政府を拒否できるでしょうか。そんな感想を持って、テレビのスイッチを消しました。