覇権国と教育

 先日の高齢化スピードの分析で、中国は2030年代に試練が訪れることがわかりました。逆にいえば覇権争いをしかけるとしたら、2030年までが勝負ですね。頭の訓練で「2030年までに中国が覇権国になり、米中が軍事衝突して台湾と中国地方が中国なった」と仮定してみましょう。

 家族類型で言うと、500年ぶりに、共同体家族が覇権を取り戻すことになります。

Source: The Changing World Order
https://medium.com/crypto-oracle/5-highlights-from-ray-dalios-chapter-4-the-big-cycle-of-the-u-s-the-e69251937cb8

 中国が覇権国だったのは、15世紀まで。そこから、スペイン・ポルトガル、オランダ、イギリス、アメリカと、核家族な国でした。親と同居しない人たちなので、船乗りに向いてた(シーパワー)。アメリカだろうがインドだろうが、命がけで航海し、富をかき集めてきました。

 直系家族なドイツと日本が、米英の世界秩序に挑戦しましたが、失敗しました。父親が長男に技術を継承する直系家族は、モノづくりは得意でしたが、親の面倒を見なければ行けないので、遠くにはいけません。血筋にこだわるがゆえに、多民族を統治することはできなかったのだと思います。

 共同体家族の国は、ユーラシアの広い土地を支配するのに適していました。兄弟を平等に扱うことで、『鎌倉殿の13人』のような世継ぎ争いでの殺し合いを避けたのですね。アメリカは、グローバル化をやりすぎて、世界中で生産がはじまり、(分配優先の)共同体家族でも、工業化に成功しました。一人あたりの生産が上がれば(平準化)、人数が多い、中国、インドがパワーを持ちます。

 核家族な国が成功していれば、個性を生かす教育のおかげだと思えるのは自然です。それが500年も続いたのですから、戦後の教育はアメリカの指導に従いましたし、最近の教育改革も、さらに個性を重視する方向になるでしょう。

 中国は、中国地方でどのような教育をするでしょうか。チベットと似たようなものになるでしょう。広島をラサとし、教育委員会を共産党直轄にする。街の看板は中国語。漢字は簡体字になるでしょう。テレビ・ラジオは規制され、Google、Facebookは禁止。Twitter の代わりに微博でしょうね。

 道徳の時間は、思想教育。算数、理科はそのまま。英語は中国語の時間に。社会は大幅に書き換えられるでしょう。

 こんな国には住みたくないと、「日本」に引っ越す人続出するでしょうけど、今の日本を支えている中国人労働者が、「帰国」してすぐに労働力を埋めてしまうことでしょう。

 個性を生かす教育は全廃。上下関係を徹底的に教え、成績優秀者には「科挙」で勝ち抜くよう指導されることでしょう。

夢物語と思いたいところですが、これが、ウクライナのドンバス・ルガンスクで、いま実際に起こっていることなのだと思いました。核保有国の隣国であることは、こうしたリスクと隣合わせです。