オランダの素晴らしい仕組みのひとつに、Buurtzorg (ビュートゾルフ)があります。非営利の在宅ケア組織なのですが、約10,000人の看護師・介護士らが参加。地域包括ケアの成功事例として世界的から注目されてます。詳細は、こちらのホームページをご参照ください。
3つの点でオランダらしいと思いました。第1は、自立型なところです。たとえば、日本だと看護師も理学療法士も、医師の指示のもとに働くことになっています。そもそもの仕組みが権威主義的なんですね。オランダの理学療法士は、医師の指示が無くとも、自分で診断しリハビリ計画を策定・施術ができます。
また、ビュートゾルフの運営は、各自がその場その場で判断して、利用者へのサービスを進めていきます。こうした「上司」がいない組織は、「ティール組織」と言われ、経営学の世界でも注目されています。こんな組織運営ができるのも、先輩後輩のないオランダらしいところだと思いました。
第2は、標準化です。看護師同士であっても、1万人もバラバラに働いていたら、会話もすれ違っていくことでしょう。介護の現場では、深刻な事故につながりかねません。ビュートゾルフでは、オマハシステムを取り入れています。アメリカ・ネブラスカ州オマハの訪問看護師協会が作った、看護過程を可視化するためのルールブックを、共通言語にしています。
日本であれば、それこそ、会社(病院)ごとに専門用語があると思います。オランダは、良い仕組みであれば、何万km離れた異国のものであろうと、そのまま受け入れてしまうのです。国民のほとんどが英語が話せるのも素晴らしいですが、英独仏なら自国式にこだわったのではないかと想像します。
第3が、ITです。ビュートゾルフ・ウェブというイントラネットをメンバーが利用しています。その日のできごとを共有するわけですが、わからないことがあれば、コーチが助けてくれたりします。電子健康記録を通じて、クライアントへの対応の履歴を共有。ケアプランをチームで共有しています。近い将来にどれだけ介護リソースが必要になるのかがわかるダッシュボードがあり、メンバーはその予測値をもとに、ケアプランを改善していきます。
オランダは、コロナで大打撃を受けました。介護施設の半数以上が感染者を出したというデータもあります。それでも、なんとか地域の介護が持ちこたえているのは、こうしたネットサービスがあったからではないでしょうか。
利用者の尊厳を尊重しながら、地域の様々な人が、同じ立場から協業する姿勢は、オランダからあ学んでいきたいと思った次第です。
では。