自民党総裁選と家族類型

歴代の首相の出身地を見ていたら、家族類型的に面白そうだったので、書いてみます。

家族類型もいろいろありますが、わかりやすくするために、

 絶対核家族:山口、高知、鹿児島

 直系家族:東北、北陸、山陰

としてみました。

 明治政府を作ったのは、絶対核家族地域(薩長土)の士族でしたが、戦後政治の石杖を作ったのも絶対核家族でした。占領したアメリカも、絶対核家族。人種は違いましたが、吉田首相とマッカーサーの基本的な価値観は、「自由」で、意思疎通できたはずです。

 直系家族な東北や山陰は、こうした日本政府の動きに違和感を感じていたことでしょう。戦後25年経って、田中首相が誕生すると、権威主義的な今太閤に、安堵したのではないでしょうか。この直系家族の時代が、森首相まで30年続きました。

 小泉首相の出身は、絶対核家族地域ではない(神奈川)のですが、父親が鹿児島出身で、絶対核家族な匂いがします。ブッシュ大統領とは気があったと思いますし、経済政策にしても、「自由」を基軸にしました。田中角栄が作り上げた郵便局のネットワークを民営化したというのは象徴的です。

 安倍首相も、山口。米英加の首相とは、フィーリングがあうはずです。年齢に関係なく、ざっくばらんに話をする。各国の違いを認めるのに違和感を持っていなかったのではないでしょうか。

 ここまで見てくると、自民党の長期政権の秘密が見えるようでもあります。絶対核家族は自由を尊重し、直系家族は権威や安定を求めるのですから、本来、相容れないはずです。2つの政党に分かれても不思議ではありません。また、日本は直系家族な国なのですから、こんなに長い間、絶対核家族的な政権が続くのも、おかしな話です。天皇家は、The 直系家族です。直系家族的な価値観を持つ政党が、長く政権にある方が自然でしょう。徳川幕府のように。

 日本の近代における2つの「絶対核家族ショック」に思い至ります。ひとつは、日本ではマイノリティだった絶対核家族(薩長土)が、明治政府を作ったこと。もうひとつは、アメリカが日本を占領したこと。この2つのショックにより、政権党は、絶対核家族と直系家族が混在する党になったように見えます。

 アメリカがあれこれ指図してくると、絶対核家族な政治家が出ていって、話をまとめてくる。それで直系家族地域の有権者に不満が高まると、田中角栄的な政治家が現れて、安心させる。それが長くなって、「神の国」とか言い出すと、都市部(平等核家族)の不満が鬱積。再び、絶対核家族的な政治家が自由化を推し進めて、喝采を浴びる。

 2020の自民党総裁選は、菅さん(秋田)になっても、石破さん(鳥取)になっても、直系家族的な運営になるでしょう。田中角栄が首相になる時の状況に似ていますね。北陸に行くと、石破さんの人気が高いので驚きますが、家族類型的には、納得の結果です。絶対核家族的な政権が20年で終わり、直系家族的な政権が30年続くのでしょうか。いずれにしても、都市部の不満は、くすぶりそうです。

では。