オランダに来て1年経過しました。最も印象的なことのひとつは、コミュニケーションの違いです。絶対核家族的な価値を持つ、オランダでは、肩の力を抜いて話し合いができていると思います。
日本からの視察のアテンドをした時のことでした。こちらの質問事項をいくつか挙げると、オランダの経済団体の方は、関連する人を10名ほど呼んでくれました。オランダ・ビギナーの私の要望に、(報酬無しで)ここまで対応してくれることに私は感動しました。
これだけ適切な人を集めてくれるなら、滞在時間を長くするので、「各人、別のセッションにできる」と呼びかけましたが、彼はそれを無視。当時、一つの部屋に10数名が集まる結果になりました。
彼は、笑いを取りながら、日本からの視察団を紹介すると、ディスカッションを開始。視察団の質問を一つひとつ取り上げながら、ディスカッションを展開していきました。途中で、プレゼンテーションをしてくれる人、逆に質問を投げかける人、あっという間に2時間が過ぎ、視察団は大変満足されました。集まってくれた方々も、それぞれ何かを学んで帰っていきました。
直系家族な私は、視察団の最年長者の意向を重視します。彼が聞きたいことを聞けるように、4つほどのセッションにグループを分け、それぞれの小グループ小部屋で名刺交換。年長者が聞きたいことを聞いたら、テクニカルなことを若手がフォローするようなヒアリングを想定していました。今回のような many to many なディスカッションは、想定外でした。
目的は、オランダの実態調査でしたが、私は、無意識に、権威を尊重しなければならない。メンツを失うようなことはあってはならないと思っていたのに気づきました。
あるがままに事実を見て、分析し、対策を考える前に、自分で考える範囲を狭めていたのです。オランダは、社会は個人でできていて、それぞれ考えが違うことが、社会に染み渡っています。なので、分析が早く、対策も的を外しません。
各国に共通する問題について、オランダ人がどう考えたかは、日本人にも役立つと思います。それを輸入する際は、こうした文化の差を調整した上で、取り入れる必要があるとも思いますが。