オランダの教育は、私も素晴らしいと思っているのですが、そのまま日本に接ぎ木してもダメだと思う点を説明します。
早期選抜
13の研究大学(WO)に入れるのは、全体の10%の学生であり、VWOの卒業資格をとった学生のみが入学を許される。日本のように、なんとなくみんな大学いくよね?という空気が満たされているところとは違います。
アムステルダム大学だと、入学生の14%が卒業できないと言われており、受験競争が日本より穏やかでも、大学を卒業するのに勉強させられていたりします。
文化の違い
オランダは絶対核家族文化。早くに親から独立し、自由を尊び、格差を容認します。その気風が生んだ教育と言えるでしょう。英独仏に囲まれているので、製造業の比率が低いです。工場で定時に同じ作業をするような教育は重要ではありません。
一方、日本は、直系家族で、空気を読む文化です。製造業もまだ盛ん。給食を配膳したり、掃除をしたりすることが時代遅れなわけではないです。
また、トランプ政権が国際秩序を変えていることから、製造業を自国で持つように各国なっていくことでしょう。熟練工を育成するのにオランダの教育が良いかというのはまた、別の話です。
また、2つの文化では、幸福感の違いもあります。絶対核家族では、自分がやったことに対する幸福感が高いので、自由にやらせてもらって、結果がすぐ出ると幸せに感じます。
一方、直系家族は、安定した社会に対して幸せを感じやすいので、年を取って旧友関係がうまくいくと幸せに感じたりします。子どものころには幸せとは思わないですね。「ホットスポット」でも学校時代の友達が大人になってもファミレスで会話をしてたのが話題になってましたね。ああいうのは、ハリウッドで映画化は難しいのではないかと。高校生がデロリアンを運転して未来に行く的な話に幸せを感じると思います。
多様性の欠如
本書では、白人で、経済的に恵まれたオランダ人家族の教育を語っています。移民家庭は違う教育をしています。オランダの日本人学校がどのような教育をしているかは、参考になるのではないでしょうか。
特に、近年は教師不足が深刻化。教育の質の低下が否めません。このあたりは、日本の定型の教育の良さもあると思います。
文句ばかり並べましたが、スポーツクラブ、子どもの自主性を尊重すること、最新のIT技術を取り入れるスピード、地元NPOとの連携など感心することも多いです。
あくまで日蘭の文化を踏まえた議論が必要かと。
では。
【参考】
