千葉高校には、55歳になる年に同窓会の幹事をする伝統があります。私も、部活の同窓会の幹事をやることになり、久々に母校に戻りました。オランダのスポーツクラブと比較して、印象に残ったことがあるので、書いておきます。
結論を先にいうと、日本のこれまでの成功と現在の停滞の一因が、この旧制一中の部活文化(Old Boy Club,以下OBC)にあるということです。明治政府にとって列強の侵略から日本を守るためには、知識面でのギャップを埋め、国力を付けることが最優先でした。師範学校 で教師を育成し、全国に中等学校を作って西洋の知識を国民に広める。第一中等学校はその背骨でした。
以前、藩校だったところもあり、もともと主君に使える武士を育成する気風がありました。文武両道といいますが、「スポーツ」ではなく武芸だったわけですね。礼をわきまえ、先輩の言うことを聞き、一心不乱に勉強する。科挙のような試験重視など。貧しかったので仕方ないことではありますが、太平洋戦争では、軍人育成に直結していました。千葉中学が、沖縄方面根拠地隊司令官太田実中将を輩出したのは、典型だと思います。
戦後にGHQの改革があり、千葉高校は男女共学になりましたが、オランダから帰ると、OBCを実感します。部活も男子と女子はきっちり別れています。挨拶するのは男子キャプテンから。先輩の言うことを聞く。年功序列など。日本企業のオペレーティングシステムは、OBCであり、それが戦後の成長を支えたのも事実です。名前もきいたこともない「ソニー」とかいう敗戦国のラジオを南米にまで売りに行くガッツは、まさにOBCによるものでした。
しかし、人口構造が代わり、女性企業に参加するようになると、OBCの効率の良さが彼女たちの足を引っ張る面も出てきました。西欧企業を見ながらだいぶ変わってきましたが、ぎこちなさはまだ拭えません。
時価総額上位10社を日米で比較してみました。アメリカは2000年代に設立された若い企業がありますが、日本で一番若いのはソフトバンクの1981年。日本企業社長は全員生え抜き男子ですね。米国も女性CEOは少ないですが、イーライリリーは女性です。
OSをこのままにして、アプリ変更で男女共同社会を作るのか。OS時代と変える時なのか。少なくとも、文化を客観的に捉える必要はあろうかと。