ジェイコブ ソール 文藝春秋 2015/4
The Reckoning Financial Accountability and the Rise and Fall of Nations by Jacob Soll
会計の歴史本。 700年の歴史から、会計制度が組織を発達させる一方、抵抗勢力によって骨抜きにされるのが、時空を超えて繰り返されており、興味深いです。
冒頭は、ルイ14世のエピソード。
ルイ14世は年に2回、自分の収入、支出、資産が記入された新しい帳簿を受け取った。あれほどの絶対的地位にいる君主が王国の会計に興味を示したのは、初めてのことである。p.9
しかし、ルイ14世は、会計担当者が亡くなると、この習慣を止めてしまいます。筆者はこのような会計責任の危機が世界のいたるところで起きたことをまとめています。
ルネサンス期のイタリア、スペイン帝国、ルイ14世のフランスからネーデルラント連邦共和国、大英帝国、独立初期のアメリカにいたるまで、一国の浮沈のカギを握るのは政治の責任と誠実な会計だった。p.12
複式簿記がイタリアで誕生したのも興味深い。
この北イタリアこそ、共同出資会社、銀行、遠距離の貿易が発展し、それとともに資本主義的な利益や複式簿記が誕生した地である。
p.31
会計は、資本主義、複数の出資者間のコミュニケーションの道具として発達してきたのですね。興味深いです。
では。
参考
日経の書評
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO86398450S5A500C1MZC000/