【本】脳研究の最前線

脳研究の最前線(下巻) (ブル-バックス)
脳研究の最前線
理化学研究所脳科学総合研究センター
ブル-バックス 2007/10

 今年もよろしくお願いします。正月休みに、ビジネスと離れた本を読みました。

脳は、自然が生み出した驚異の器官であり、とてつもなく複雑である。どうしてこんなものができたのだろう? その仕組みはどうすればわかるのだろう。これは20世紀の科学では解決できず、21世紀の科学への挑戦とされる最大の課題である。p.300


 思えば、ビジネスアイディアを思いつくのも、失恋するのも脳作用であり、もっと脳のことを知ってもよいなと思いました。

脳で学習が起きているときには、このシナプスの重みが変化するのである。p.248

この重みをどのように設定するのかが、その人の脳の構造を変えていくんですね。それには、ドーパミンが重要な役割を果たします。

ドーパミン神経細胞は、「実際の報酬」?「予測された報酬」に主として反応するというのが近年の研究の成果である。p.261

単純に、脳にとっての「快」が作用するのではなく、事前に予測された報酬とのギャップが重要なのだそうです。企業の人事報酬体系にも応用できそうですね。多国籍企業での摩擦は、実は、予測された報酬が人種によって違うことによって起こされるのかもしれません。
 先日、『安心社会から信頼社会へ』を紹介しましたが、この信頼も、脳科学からみると

オキシトシンを人間に嗅がせると相手を信用しやすくなるp.293

のだそうです。ハタネズミの実験が紹介されています。

オキシトシンを脳内注入してやると、自分のパートナーとより長い時間を過ごす、つまり、より一夫一婦制を好むメスの数が増えるのである。

 こう書いてくると、薬で心もコントロールできるのかと思うのですが、こんなことも。

一方、私たちのこうだ王や振る舞いは、たとえばどの報酬を獲得するかという違いを通じてドーパミンやオキシトシンの分泌の仕方を変えることができる。P.294

 正月に心を改めて、がんばりますか。

では。