堀切 俊雄 かんき出版 2016/8
トヨタの原価企画がわかる本。Target Costing とは、 商品企画の段階で市場調査を行いニーズや競合の価格などを元に販売価格を設定し、、そこから目標とする利益を引いた価格を「原価」とする方法。18年前にMBAの管理会計の授業で出てきたときには、ビックリしましたが、改めて振り返ると、合理的な経営手法です。
トヨタの経理部は、本社と現場に分れて活動している p.3
通常の財務会計を経理の仕事と思っている企業には新鮮でしょう。正確な商品別の原価を割り出すことを重要な任務のひとつにしていることがトヨタの特徴です。コスト削減をしようと経営者が呼びかけても、社員が動かない企業に対しては、
「商品別の原価」がどうなっているかを知らされていなければ、目の前の仕事と原価のつながりが見えてこないので工夫のしようがない。p.4
と指摘。この活動を工場部門だけでなく、スタッフ部門にも展開しているます。なぜなら、p.5
トヨタでは、「利益を上げない行動は『仕事』ではない」と考えています。
言うのは簡単ですが、実行できる会社は強いですね。その徹底ぶりは、p.45
「この商品の作業で、5月9日には手袋を8枚、タオルを13枚使った」と記録してはじめて「商品別の原価」を計算できるのです。どの商品に使ったものかを記録していくのは大変です。しかしこれを習慣化しなければ、商品別の原価は出せません。
トヨタの工場の原価管理では、必ず「商品別、部品別、組別」に、何をどれだけ使ったかをすべて分類しています。
本社へ横展開は、p.46の会議の原価計算。
メモを取るために10円の鉛筆の芯を10分の1使ったら、1円です。15人の会議であれば、鉛筆消耗費は15円です。また、会議中に社内のコーヒーやお茶を全員が飲み、その原価が1杯8円であれば120円です。この時の紙コップ代も計算しないといけませんし、会議室での電気代も…。
参考になりました。