【本】ソニーとSONY ☆☆☆☆

ソニーとSONY
ソニーとSONY
日本経済新聞社 2005/11

 2005年のソニートップ交代をめぐるドキュメント。日経は、トップ交代、ソニーフィナンシャルホールディングの売却など、一面で報道してきたのですが、その取材の綿密さがわかる内容になっています。タイトルは「ソニーとSONY」ですが、内容は、「SONY 出井伸之の10年」です。


 この本の中に、企業の規模は、トップにとって、「マネジャブル」(manageable)でなければなない、というくだりがあります。ソニーという会社は、連結している会社が1000社を超え1年の365日の1日を1社にあてることができない会社です。
 ソニーのエンジニアと話をすると、半導体の専門用語ひとつわからない自分を発見します。つぎに、ソニーミュージックの人と飲みに行けば、今の音楽シーンについて語らなければなりません。その翌日には、海外に飛んで、工場の起工式とかに出席して、政府要人と経済の話をする。考えただけで疲れます。
 私がかつて、ソニーユニバーシティで発表したプランを即断する出井会長の姿を思い出しました。15分の発表を聞いて、即座に「Go」を出す姿に、ソニーを経営する難しさを痛感しました。僕らは、半年その問題に悩みに悩んだわけですが、CEOはその問題について考える時間が15分しか取れない。むしろ、その時間で判断しなければならないんですね。
 「Manageableでな規模でなければならない」というのは、多くの企業にとって、まさに、その通りなのですが、その基準(どこまでが管理可能なのか)の見極めは、きわめて難しいですね。
 ソニーで出会った経営者は、みなさん本当に優秀で感銘を受けたのですが、それが組織として動いたときにどうかというのは、別問題でした。こういう「統治機構・システム」を考える力は、日本人なんかよりも、フランス人の方が得意だなと思いますね。ゴーンさんとかみてますと。
 大企業のコーポレートガバナンスをどうすべきか考える上で、非常に参考になる本だと思います。
  
 では。(^^)/^