フィル・ナイト 東洋経済新報社 2017/10
ナイキの創業者の自伝。映画のように面白いのですが、Netflixで映画化が決まったようです。話的には、『陸王』に近いのですが、ビジネスって、山あり谷ありだよなぁと改めて確認できました。
シュードッグとは靴の製造、販売、購入、デザインなどすべてに身を捧げる人間のことだ。p.265
リーダーシップをチャーチル、ケネディ、トルストイに学んでいました。
戦争は究極の極限状態だが、ビジネスもある意味では戦争だ。ビジネスは銃弾のない戦争だと誰かが言っていたが、私も同感だ。p.129
著者が大学で会計学を教えていました。最初の授業の様子は、こちら。
Slowly they (students) filed into the classroom, each one radiating boredom and hostility. For the next hour they were to be confined in this stifling cage, force-fed some of the driest concepts ever divested, and I was to blame, which made me the target of their resentment. They eyed me, frowned. A few scowled. p.171
オニツカタイガー(現在のアシックス)の販売代理店だったこと。同社と裁判になること。何も資産のない若者が、事業を立ち上げる時に、かますハッタリングをどこまで「ウソ」とみなすかは、微妙なところではあります。
窮地を日商岩井が救うのですね。
運転資金の調達の重要性をひたすら感じる本でもあります。経営って、資金調達の苦労と同義なところもありますね。著者は、公認会計士なのですが、不渡りを出してしまいます。
米国らしいといえば、訴訟社会であること、政治(ロビーイング)あたりでしょうか。
こんなに困難に会いながらも、事業を続けるのは、著者もShoe Dogであるからでしょう。
人が一日に歩く歩数は平均7500歩で、一生のうちでは2億7400万歩となり、これは世界一周の距離に相当する。シュードッグはこうした世界一周の度に関わりたいのだろう。彼らにとって靴とは人とつながる手段であり、だからこそ彼らは人と世界の表面をつなぐ道具を作っているのだ。p.266
これほど成功した経営者であれば、ライターを雇って、美しい物語にすることもできたでしょうが、本書は、驚くほどの率直さで、自分の失敗を共有してくれています。Honesyが経営者の資質なのでしょう。
では。