【本】ゲーム理論はアート

ゲーム理論はアート

松島 斉 日本評論社 2018/1

経済学者によるゲーム理論入門書。最近の研究の進捗具合を素人が学ぶには良い本でした。

たとえば、ジェレミー・ベンサム(Jeremy Bentham、1748 – 1832)による、パノプティコン(Panopticon)。国家の個人への干渉(パターナリズム)を定位コストで実現する仕組み。囚人は、従順と同調の感情に支配されるため、意向に沿うことが習慣となり、更生するという。

現代は、監視機能のついた携帯通信の普及や、町中に監視カメラが設置されているなど、まるで全体がパノプティコンのような「監視なき監視社会」だ。p.185

実際、上海を30年前と比べると、お行儀がよくなっているのに驚きます。
他にも、Hannah Arendt が指摘した「悪の凡庸さ」 Banality of evilの考察など、ゲーム理論の応用範囲の広さを理解できました。