原題: The Everything Store
ブラッド・ストーン 日経BP社 2014/1
アマゾン会長の半生記。私がMBAで学んだ頃(1999年)には、クリック・アンド・モルタルとか議論していましたが、ベゾス会長、ビル・ゲイツ氏を追い抜きましたね。こういう起業の物語が、ふんだんにあるのがアメリカの強さだと思いました。
奥さんが、アマゾンの書評に一つ星をつけているように、経営者を礼賛するような本ではありません。起業のネガティブな面も丁寧に描いており、第3者的には、非常に参考になります。
起業当時の梱包用のテーブルを買うエピソードは微笑ましいですね。p.53
他の起業家と異なる点として、様々な本から経営を学んでいるいるのが印象的でした。たとえば、株価急落の時に触れていたベンジャミン・グレアムの言葉。p.157
In the short run, the market is a voting machine but in the long run, it is a weighing machine.
アマゾンが、オペレーションの企業だということを実感できるのは、ウィルケ氏の言葉p.229
顧客の注文通りに組み立てていると言ったほうがいいでしょう。作業内容は小売業より製造業・組立の現場にずっと似ているのです。
1999年に予測していなかったのが、AWS。ベゾス氏の言葉が印象的です。
イメージが一番近いのは電力網だと思います。100年前、電力が欲しければ自分で発電プラントを造る必要があり、実際、多くの工場がそうしていました。でも、電力網が実用化されると、皆、発電機を捨てて電力網から電気を買うようになりました。p.309
いよいよシンガポールでも、アマゾン・プライムが始まりました。アマゾンが変えているのは、もはや小売だけではないですね。
では。