堀 紘一 PHPビジネス新書 2011/4
日本の戦略コンサルタントの第一人者による、コンサルティングの解説。基本動作の復習になりました。
冒頭はHBSのやりとり。
ハーバードで学んだ一番大切なことは、知識ではなく「何が問題か」を見つけ出し、その解決策を探し出すということであった。p.96
第1章は、歴史。始まりは、1900年にFrederick Winslow Taylorが工場に科学的管理の手法を導入したこと。マッキンゼーのOverhead Value Analysisにつながっているのだとか。
クライアントとの思い出話しで面白かったのは、ホンダのHY戦争。あまりの低価格に吉沢副社長に原価を問い合わせた時の回答 p.49
原価は1台5円だ。19800円で売ってこい
第2章は、コンサルティングの必要性。4つの意義は以下の通り。
- 企業は顧客を把握できていない
- 「過去の成功体験」が発展を阻害する(成功の復讐)
- 「因果関係」を徹底的に追求できる
売れてる商品と売れない商品、トップセールスとダメセールスの共通点を分析 - 戦略立案には技術と経験が必要
第3章は、コンサルタントの実務。始まりは、社内インタビュー。各階層のズレを認識。データを集めて事実と照合する。次が、ステークホルダー(仕入先、販売先、最終顧客)。ポイントは、仮説を常に持っていること。
「コンサルタントの仕事をひと言で言うと何だ?」
と聞かれたら、私は、
「グラフを書くこと」
とでも応えるだろう。
経営者との距離感の保ち方については、p.137
コンサルタントの仕事は、常識どおりで良いところと、疑ってかからなければならないところを見極めることにある。
第5章は、コンサルティング会社との付き合い方。料金については、人件費✕乗数(マルチプライヤー)。
「マルチプライヤー」が3倍を切ると、一流の弁護士事務所やコンサルテイング・ファームは維持ができなくなると言われている。公認会計士の場合は、2.5倍が損益分岐点と言われている。p.222
月額20~30百万円で期間4ヶ月というのが一般的なケース。p.224 高額な料金を正当化するためにも、10倍ルールを設けているとのこと。p.230