司馬 遼太郎 新潮文庫 2003/10
長岡藩 河井継之助の物語。譜代大名であった長岡藩の武士の物語。有事のリーダーシップを学ぶ1冊。幕末の動乱期に、正確に将来を見通すことは、困難と思っていましたが、時代の本質を見抜く力は、通信技術とはあまり関係ないというのもわかりました。
いくつか教訓があります。
1. 知見を得たければ、人物に会うべし
当時の旅行は、いまと比較にならないほど困難だったと思いますが、上巻では、様々な人物にあって、知見を得ています。「情報は発信源に集まる」を地で行っています。
2. 志の重要性
青くささのない人間はだめだ。枯れて物わかりがよくなった人間が幾千万おっても、いまの世はどうにもならぬ。p.240
3.地の利
(おれの藩は、長崎に藩邸をもたぬ)
ということは、重大な問題であった。西国の雄藩のほとんどが、この開港場に藩邸 -- 藩の貿易出張所をもっているのである。 p.417
東日本の諸藩は、長崎に藩邸を持っておらず、情報、貿易、資金面で不利でした。
「人間はな」
店舗と同じだ、と継之介はいった。場所が大事である。人の集まる目抜き通りに店を出せば繁盛するように、古賀塾におれば学問はせずとも自然に耳目が肥える。 p.427
世界の情報は、ある場所に集中的に現れる。現代の日本企業(藩)が、藩邸を持つべき場所は、どこでしょうか。
では。