GHQ焚書図書開封1: 米占領軍に消された戦前の日本
西尾幹二 徳間書店 2014/10
GHQの思想統制を分析した本。占領下では、7千冊以上が禁書処分を受けており、その経緯を追うことで、アメリカの占領政策および日本(文化)の分析を試みている。
改めてわかるのが、憲法では、言論の自由を謳いながらも、苛烈な言論統制がされていたことです。検閲では、30項目に該当するか調べられ、該当する場合には書き換えられました。言論弾圧に対しては、自主規制が進みました。加えて
自国と自国の国民があの戦争に捧げた思想と感情と新年をひとまとめにして、あれは宣伝であったと言えという旧敵国の要求に日本政府は簡単に屈し、ご無理ご尤もです、私どももそう思います、あれはみんな悪しき宣伝に踊った間違った考え方でした、だから全部「没収」しましょうといって、7千数百タイトルの単行本を、占領軍の手先になって全国の書店、出版社、古書店、官公庁、倉庫、印刷所、取次ぎ会社など、龍刀寄稿から輸送中のものも含め没収しました。
対象となってのは、以下の5分野
- 戦前著名であった作家・評論家の本
- 戦争関連の本
- 戦時下の経済に関連した本
- 諸外国関連の本
- 日本文化・精神に関連した本
第1部では、焚書の実態が分析されており、第2部では実際に焚書処分にされた本を紹介しています。
たとえば、第9章は、シンガポール陥落までの戦場風景をとりあげており、日本人の視点から見たマレー半島攻略を読むことができます。
南京記念館のことでいろいろ騒がしくなっていますが、双方の視点から歴史を検証する姿勢が、ますます重要になるかとは思います。