リチャード・S・テドロー ダイヤモンド社 2008/6
インテルの名経営者の伝記。ユダヤ系ハンガリー人として、ナチスの迫害を受けた人が、アメリカにわたって、世界に冠たるIT企業を作る。こういう経営者が、たくさんいるのが、アメリカのすごいところですね。
経済史からみると、80年代の日米半導体摩擦の話が懐かしいのですが、その中で、中核事業であったメモリー事業から撤退するプロセスは、参考になりました。下巻p.36では、
戦略の変曲点はたいてい、音もなく忍び寄ってくる。往々にして、後になって初めて『あれが変曲点だったのか』とわかるのだ。
と述べています。それが、兆しかノイズかを見分けるのは、難しいですね。グローブ氏といえば、
Only the Paranoid Survive.
と、現代のCEOの心理的負担の重さを表現していましたが、戦略の転換点で”a valley of death”を超えなければならないときに、直感の重要性に触れているところは、新鮮でした。
また、下巻の19章では、浮動小数点問題について触れています。結局、457百万ドルを引き当てることになるのですが、ネット時代のPLについて考えることができました。現代の経営者は、本当に難しい判断を迫られますね。
では。