『ケータイ小説的。』の著者によるラーメンを通じた日本戦後史。「中華そば」であったものが、どのように「らーめん」になっていったのかを見ていくことで、日本社会の変化を読み取ることができます。
本書には、2本の縦糸があります。ひとつは、工業化。チキンラーメンとカップヌードルによって、ラーメンが大量生産されるものになりました。日本人にとっての「麺」が日常食になり、その反動として、外食のラーメンが専門化しています。その過程でご当地ラーメンが発掘され(作られ)るのですが、日本が均質化している過程で、この動きが出てきているのは面白いところです。
もう一つは、日本化。中華料理だったはずだったラーメンが、なぜ、作務衣を着て、相田みつをライクな標語をかかげ、大声で挨拶し、体育会系のノリになってしまうのか。リアリティショーに原因を求めています。
世代的には、土佐っ子となんでんかんでんが、歴史のポイントになっているのが、感慨深いところです。