橋下 徹 文藝春秋 2011/11
大阪市長のマニュフェスト。大阪都構想が特に奇抜なアイディアではなく、環境変化に対応した体制変更だということがわかります。
企業は業績が悪化すると人事をいじくる。それでもダメなら経営の仕方を変える。さらにダメなら、体制(システム)を変更するという話が p.22にあります。本書は大阪、ひいては日本が、最後の段階にあり、体制の変更が必要だと主張しています。
大阪市民の負債(市民+府民)は、160万円。東京23区の55万円と比較して高額になっています。その原因を二重行政と分析しています。単純な感情論ではなく、現在の設計が悪いと分析。大阪市役所は大阪市のために働くように設計されており、府全体を最適にするわけではありません
単純に国に地方分権を求めるだけではありません。第5章には、地域振興会と、市営地下鉄の例が紹介されています。地方は、霞が関が予算を離さないと批判しますが、大阪市も予算は手放さないのですね。大阪市の区には、2億円の予算しかないと初めて知りました。
道州制を最終目的としながら、まずは大阪府レベルで「都」を目指す戦略。組織のマネジメントも、民間からみて違和感ありません。
毎度のことながら、メディアが報じるのは、extraordinaryなことですが、文字で読めば、退屈なほどオーソドックスな診断と対応になっています。
先日紹介した、中国化の観点からすると、急激な中国化ですかね。
- 中央集権
- 殿試導入
- 伝統的な部族社会の解体
- メディアを駆使
- 自由経済
そうなのであれば、支持を維持するために必要なのは、
- 道徳的に劣った存在にだけは見せない
- 結果よりも動機の美しさを強調する
その後に来る江戸時代化に大阪人はどう反応するのか…。