「普天間」交渉秘録
守屋武昌 新潮社 2010/7
元防衛事務次官の回想録。最近の出版界は、特捜部に助けてもらっているのではないかと思うほど、「小菅文学」の本を読んでおります。これも名著。
内閣と吹き飛ばす威力のある普天間問題。その当事者の記録は、それだけの重みがあります。たとえば、稲嶺知事の言葉。
守屋さん、沖縄では大きな仕事は20年かかるんですよ。石垣空港もそうだったでしょう。あの時だってそれだけ年月がかかっても誰も困らなかった。今回はまだ7年です。たいしたことないじゃないですか。 p.83
そして、屋部土建社長の言葉。
沖縄の一部の人々は代替飛行場を作るのが難しい所に案を誘いこんで時間を稼ぎ、振興索を引っ張り出したい。作るにしても反対運動が起きて時間が稼げるようにしたい。p.104
太平洋セメントの諸井虔相談役
政府は沖縄に悪い癖をつけてしまったね。何も進まなくてもカネをやるという、悪い癖をつけてしまったんだよ
本書は東京側から書かれた本であり、沖縄の視点も読んでみたいとは思いますが、日本国のガバナンスがこの時期からすでにおかしくなっていたのは実感できました。
では。
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