日本と中国は理解しあえない
日下公人 石平 PHP 2008/4
日下先輩の最新作。北京五輪記念に読んでみました。石平さんとの対談ですので、内容は想像通りです。東アジアというひとつの文化圏として両国を見ると、見間違えるのであって、大陸vs島国の差は、いかんとも埋めがたいということでした。
両国の宗教観の違いは、「清める」という感覚があるかないかだとしています。
宝塚音楽学院のモットーは非常に感心するんです。(中略)世界中のどこの学校でも「正しく」は共通して教えます。「美しい」も音楽の学校ですから。しかし「清く」はすごく日本的です。p.84
日本の神道では、汚れを祓えば人間は清らかなのですが、他の宗教では、善悪を決めるのは神。中国の場合、全なくの基準そのものが常に変わるため、人々は、政治に関心を持たざるを得なくなるんですね。
北京は800万人の都会ですが、お寺は3軒しかないんです。しかもその3軒は観光用スポットp.90
文化的な相違としては、言語をとりあげています。中国語は政治的で、日本語は情緒的なんですね。
うちの夫婦は両方とも中国人で、両方とも日本語がもちろんできるのですが、夫婦ゲンカをするときは中国語になるんですよ。p.68
毛沢東が、中国の伝統的な地域社会を崩壊させたことを強調しています。地域の信頼が崩れたことにより、統治コストが高い国になってしまった。以前ご紹介した『安心社会から信頼社会へ』が参考になると思いますが、中国が背負っているものの重さが伝わってきました。
では。