【本】音楽は自由にする

音楽は自由にする
Musik macht frei
坂本龍一 新潮社 (2009/2)

教授ぐらいの大物になると、天才で終わってしまいたくなるところですが、この本を読むと、家族、時代、場所からの影響がよくわかって興味深いです。

月刊誌『エンジン』のインタビュー集ですが、ひとつの物語としてスっと腑に落ちる書になっています。

 .::Danka::.

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表題を見て思い出すのは、Auschwitzの”Arbeit macht frei”。音楽を軸としながらも、2つの自由を感じます。母親に言われてピアノを始めたり、YMOに誘われてバイト感覚で参加したり、受身な自由。
一方、学生運動に参加したり、大島監督に音楽担当を志願、矢野さんと結婚するなど、自分のやりたいことをやる自由。
2つの自由が織り成す物語が、教授の人生に深みを与えています。

家族の影響も興味深いですね。父、坂本一亀氏は、三島由紀夫などを担当した編集者。目を合わせたのが高校になってからというほど、厳格な父。教授のバックグランドに文学の教養があるのはわかりますが、表現者として文字を選んでいないのも面白いところです。

YMOがらみでは、「同じ言葉を持つ人たち」p.108がなるほどと思いました。教授は系統立てた勉強で音楽の知識を身につけたのですが、細野さんとかは、そういう勉強をしてないのに、その核心を体得している。

マイケル追悼でいえば、p.135で触れている”Behind the Mask” マイケルver. がThrillerに入るかもしれなかったんですね。

では。

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