【本】流通王・中内功とは何者だったのか

流通王・中内功とは何者だったのか流通王・中内功とは何者だったのか
大塚 英樹 講談社 2007/8

 何者だったんでしょうね…。ヨーカ堂派だった私にとって、ダイエーは、あまり縁がありませんでした。それでも、中内さんの流通革命にかける意気込みは感じましたし、引退してからの世間評価とのギャップに戸惑うところもありました。


 本書では、中内さんの「狂気」(p.33)を描いています。第3章で商人と商売人にこのようなくだりがあります。 

商人とは、社会を変えてやろうという大きな志を抱いて事業を興す人である。(中略)片や、商売人というのは、ここの会社の利益を追求する人である。(p.33)

 カスタマーのことを伊藤さんは「お客様」と呼んだのに対し、中内さんは「消費者」「一般大衆」と呼んだりする。同じGMSを営んでいても、対照的な経営です。
 そんなダイエーも、いつしか商人としての感度の鈍いイエスマンの集団になってしまう。その要因がp.317に2つ書かれています。
 ひとつは、中央集権的な体制。中内さんが、店の細かいところまで細かくチェックしたことで、店長は自ら考えようとしなくなった。
 もうひとつは、商品本部の偏重。強力なバイイング・パワーを背景にした価格引下げをレーゾンデートルにしていたダイエーは、350人の店長に対して、バイヤーが4000人いた。p.318
 ダイエーは、社員教育に力を入れた。管理職になっても、訓練に次ぐ訓練。「決められたことを決められたとおりにやる」「仕事とは一人ではなく、チームワークでやるものだ」と叩き込まれた社員は、右肩上がりの時代には最強軍団であったが、マニュアルが通じない時代がくると、その能力が裏目に出てしまった。

 時代の先を読むというのは、経営者の仕事ですが、2万人の社員の意識まで変えるというのは、本当に難しいでしょうね。しかも数十年かけて自分が言ってきたことを否定するとなると。
 
 では(^^)/~

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