2006年9月12日、デビルテイズ戦の1回裏、8番DHで先発出場した松井が打席に向かおうとした時である。ヤンキースタジアムにつめかけた5万2265人の観客が全員立ち上がって、拍手と声援で迎えてくれたのだ。
興奮と感動で思わず身震いがするほどだった。これほど、温かく迎え入れられる選手を私は見たことがなかった。
松井選手がここに至るまで、広報担当として支えた広岡氏の記録。この本のすごいところは、ここに書かれていることのほとんどを私が知っているということだと思います。
私がミネソタにいたときに何をしていたか、知っている人はいないと思いますが、NYで松井選手が何を成し遂げたかは、日本中の人が知っている。松井選手の活躍は、ほうっておいて伝わるものではなく、選手、球団、メディア、ファンの間のフェアな関係が保たれることによって達成されることがわかりました。
パブリックリレーションズ(PR)とは、個人や組織体が最短距離で目標や目的を達成する、『双方向性コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーション活動である(P.126、井之上喬氏の著書からの引用)
なんですが、実際は、片方向だったり、自己修正ができずに失敗するんでしょうね。
本書の中でも、松井選手が、オフレコを前提として、”ジャップ”という言葉を使ってしまい、その後、自己修正する模様が描かれています。そうなんですよね。こうやって、自己修正できればいいんですね。
21世紀になって、会社のマネジメントは、アスリートやアーティストのマネジメントから学ぶことが多くなったと思っているのですが、アスリートを支えるスタッフからも、いろいろ勉強できますね。
では。
【本】不動心を読む