金融マーケティングとは何か これがプロの戦略だ!
広瀬 康令 2006/11 ソフトバンク新書
シティバンクのマーケティング担当者による、金融のマーケティング論。「金融はサービス業だ」、「金融にもマーケティングが必要」とは言われていますが、具体的にな1歩をどうするかを語れる人は限られています。
フィデリティで投資信託、チューリッヒで保険、東京スターでターンアランドを担当した著者の言葉は、経験に裏打ちされており、説得力がありました。
メディアの使い分けについては、状況に応じて使い分け、広告代理店とも率直に交渉しています。金融機関の出稿先といえば日経ですが、朝日新聞を使った例p.44、日刊ゲンダイを使った例(p.52)は興味深いものでした。
ラジオ広告のROIが高いというのも意外ですね。DJの「語り広告」が有効で、かつコストを下げるために「録音」にしてもらったそうです。
著者は、マンガを使ったエデュケーションブックを作っています。非常に簡単なことですが、顧客の立場に立てば、もっと早く実現してもよかったものでした。
こうしたマーケティングのノウハウが蓄積された理由のひとつは、外資系ならではの数値管理があるのではないでしょうか。
私の席に来るたびに、「How many calls? How many accounts?」と連発していた。思ったよりもコール数が少ないと、私は怒られることになった。予定音コール数に達しない場合の説明をすると、「No excuse!」とまた怒られる。
一方、グロソブのような分配型ファンドに対する不安も率直に書いています(P.107)。
分配型を売り続けたことのツケが、」これから押し寄せてくるのではないか、という器具である。毎月、分配はされていた。しかし、本当は元本は割れている。そういう状況が、トラブルの芽になりはしないか、と。
最終章「これからを考える」では、「クロスセルには、コンサルタントも大げさなCRMもいらない」(P.156)として、安易なマーケティングに警鐘を鳴らしています。
エリア、年齢、男女などの軸でセグメントして、まずは小さなレベルで始めるべしと。そして、顧客にどのような接触をして、どのような反応があったかを愚直に記録し、仮説を立て、検証していく。
金融業界への提言として、顧客の教育をあげてます。将来の経済的な不安が広まっていますので、資産形成の勉強をしたいという顧客は多いはずですね。金融機関のマーケティングでは、工夫できる余地がありますね。
では(^^)/^