老舗の強み
安田 龍平 2006/11 同友館
430万社の企業の中で、100年以上継続している老舗は、15千社。その中から、非上場の同属企業の観点から選んだ12社を解説した本です。
以前、ある経営者の方から、企業の信用力を測る上で、ひとつだけ数字を選ぶとすると、業暦と言われました。いつの時代にも、経営は容易ではなく、事業を継続できるだけで、まずは、素晴らしいとすれば、こうした老舗から学ぶことは多いと思います。
本書には、ミツカン、にんべん、鈴廣、山野楽器といった、いまも身近な企業が取り上げられています。面白いのは、どの企業も、「変わらないために、変わり続けている」ことですね。
「峠の釜めし」で有名なおぎのやは、長野新幹線開通で大打撃を受けるわけですが、そのずっと前からドライブインの経営に取り組むなど、始まっていたわけですね。
「目礼目送」という顧客に対する感謝の姿勢は、はっとさせられました(P.224)銀行の頭取が来社したときも、列車が到着すると、中座してホームに向かうのだそうです。
また、「家訓」の多くは、MBA的な言葉に置き換えられます。榮太郎の「本業を守る」というのは、コアコンピタンスへの集中でしょうし、「暖簾(のれん)は育てるもの、守るものにあらず」「苔(コケ)は付けるが、黴(カビ)は付けない」というのは、KAIZENの取り組みだと思います。
先輩企業に学ぶことは、本当に多いですね。
では。