真藤順丈 講談社 (2018/6 |
直木賞受賞作。 540ページの長編で、 沖縄方言もあり、冒頭は読むのに苦労します。 『宝島』とは沖縄のこと。日本が独立を回復した1952年以降のアメリカ統治時代の物語。
第一部は、戦果アギヤーのこと。「戦果を挙げるもの」という意味で、アメリカ軍基地から物資を略奪する軍団です。彼らは、コザの貧困者たちに戦果与え、義賊としてみられてました。この若者たちの物語なのですが、背景である沖縄問題が重いです。何度も、読んできたことですが、やっぱり、重い。
米軍、日本政府、琉球側の統治、暴力団、孤児と、すべてをカバー。象徴的なのは、このセリフ。
ああ、この島ではーー
どこにいても、どんなに歳月を隔てても。
鉄の暴風が降ってきて、なにもかも焼き尽くされる。
p.222
文字通り、あらゆる困難が、宝島を襲います。通常ならほとんどの読者が冒頭でギブアップしてしまうであろう内容なのに、評価されるのは、登場人物のもつエネルギーでしょう。この「活劇」は、好き嫌いが分かれると思います。
私にとっては、これまでいろいろ読んできた沖縄関係の情報を、一つの絵にしてくれました。沖縄を学ぶことは、日本を学ぶことですね。
では。