証券教育広報センターのコピー

日本証券業協会会長 安東俊夫様

証券教育広報センターで、証券業協会の会員企業のレポートをコピーできるようにしてるようにしていただけないでしょうか。

【解説】

私は、大学生の頃から、茅場町にある証券会館を利用してました。そこに広報センターがあり、各証券会社のレポートが読めるからです。国会図書館にもない企業の最新情報や経済への洞察を読むことができ、非常に感激したのを覚えています。

それから20年。証券会社は、しばしば不祥事を起こし問題にもなりましたが、個人投資家に証券投資を促すために、このような質の高い情報室を無料で提供している姿勢を高く評価しておりました。

久々に広報センターに行ったところ、コピー機が撤去されていました。聞けば、著作権の問題があるため、スクラップ以外のコピーを止めたとのこと。たしかに図書館法によれば、

第2条 この法律において「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保有して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とする施設で、地方公共団体、日本赤十字社又は一般社団法人若しくは一般財団法人が設置するもの(学校に附属する図書館又は図書室を除く。)をいう。

とあり、社団法人でも、財団法人でもない協会は、図書館のようにコピーができないというのは、よくわかります。

しかし、協会会員の出しているレポートについては、会長リーダーシップで、会員の了解が得られれば、広報センターでのコピーがを許可できるのではないでしょうか。

インターネットの普及により、広報センターに行かなくても、多くの情報が得られるようにはなりました。しかし、本棚に並ぶ各社のレポートの表紙をみていると、今の証券会社の考え方や世界経済の動きなど、なんとなく感じることができるのも事実です。

デジタルの検索では得られない、右脳的なひらめきが得られる場所としての価値は、いまだにあると思います。

コピーができなくても、レポートは読めます。しかし、内容の濃いレポートほど、枚数がかさみ、すべてを記憶するなど不可能。メモにも限界があります。

働き盛りのビジネス・パーソンは、そこでコピーしたものを帰りの電車の中で熟読することで、将来の相場について思いを巡らせていました。広報センターから持ち出せないとなれば、若者の利用は減るでしょう。時間的に余裕のある株好きの退職者ばかり集まる場になります。

広報センターを、日本の将来の証券市場を支える若者が、感激するような場所に戻していただけないでしょうか。

かしこ。