テスラが、2018年度決算を発表しました。黒字化定着がニュースになっているようですが、私が驚いたのは、売上げの伸びです。
118億ドルから215億ドルと前年比97億ドル(1兆円)82%伸びました。1兆円といえば、資生堂の売上げと同じです。アメリカでできた電気自動車ベンチャーの昨年の増収分が、世界中で化粧品売りまくっている会社の全売上と同じだったということです。
表は、東証一部の製造業の増収額ランキング。JXTGは、経営統合による増収なので、3社にしかできない大幅な増収といえるのではないでしょうか。マスク会長が、「生産地獄」とか「配送地獄」いうのもうなづけます。
CFOが辞任したことがニュースになってましたが、財務の仕事も凄まじいものだったでしょう。ことらは、キャッシュ・フロー計算書
2013年までは、投資は小さいものでしたが、2014~17年の投資キャッシュフローは85億ドル(9,300億円)。工場立ち上げ期に営業キャッシュフローを期待できるわけもなく、118億ドル(1.3兆円)も調達したのでした。調達した人もエライですが、どうなるかわからないベンチャーに、これだけ投資する人もエライですよね。2018年には、営業キャッシュフローも余剰になり、やっと一息つけたのではないでしょうか。
財務の偉業を確認できるのは、貸借対照表。2013年には総資産24億ドル(2,640億円)でしたが、5年後に294億ドル(3.2兆円)と12倍。累損が64億ドルに達し、常に倒産の危機と向き合いながら、現場を支えた財務は、超ファインプレー。
ま、明日、潰れてしまうかもれいないのですが、これがアメリカでの起業のだと教えてくれるBSです。
曙ブレーキに続いてテスラの決算書を読みましたが、CASEが私の想定を超える速さで進んでいるようにも思えました。GMが工場を閉鎖して、テスラが売上げを1兆円も増やしているのは、その象徴です。もし、曙が、GMから失った注文を、テスラで補えていたら、ADRを申請せずに済んだかもしれません。こんな劇的な変化が巨大産業で起こっているのは、恐怖すら感じますね。経営者の予測力と決断力が、いっそう問われます。